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2016/2/25-2/28 冬季八ヶ岳雪上訓練


3年生1名、2年生1名が参加しました。

今回は大学の春休みを利用して、3泊4日で八ヶ岳へ雪上訓練に行ってきました。

【感想・報告】 担当 八重樫

2月25日(木)

朝6時半に自宅を出発。夜中の降雪で辺り一面が銀色に染まっていた。

今回の山行のスタート地点である北八ヶ岳ロープウェイまでは電車とバスを乗り継いで約5時間の道程だ。車窓から見る雪景色を堪能しながら北八ヶ岳に向かった。

正午過ぎ、北八ヶ岳ロープウェイ駅に到着。暖冬の影響で予想以上に雪の量が少なくて驚いた。

ここからは山頂駅までゴンドラを利用して一気に標高を稼ぐ。ゴンドラは多くのスキーヤー達で賑わっていた。皆雪に飢えた顔をしていたことを記憶している(笑)

冬靴やシェルを装備して、13:30頃山頂駅を出発。駅からテン場までは約2時間の行程だ。

この日は良く晴れていて風は微風、歩いていて非常に気持ちが良かった。時折樹木の隙間から北アルプスや南アルプスが顔を出していた。

平凡な道を2時間程歩いてこの日のキャンプ地である青苔荘に到着。ここのトイレは、山小屋では珍しく、水洗で暖房も完備されており、標高2100mの山小屋とは思えないほど設備が充実していた。

小屋で受付を済ませてテントを張る。私にとっては初めての厳冬期テント泊。寒さで寝付けるか心配だったが、長い電車移動の疲れもあってかすぐに深い眠りにつくことができた。

2月26日(金)

朝6時半過ぎ起床。山では随分と遅い朝となった。この日は北八ヶ岳の山々を散策し、アイゼン、ピッケルワークのトレーニングや、滑落停止の練習を行う日となっていた。

朝食を早々に済ませ、必要な装備をザックに詰め込んでテン場を出発した。北八ヶ岳の山は、基本的には軽アイゼンとストックがあれば登れてしまえるような場所らしい。しかし、今回はトレーニングということで、麦坂峠から12本アイゼンとピッケルを装備した。

滑落停止の練習に適した斜面を探しながら、縞枯山方面へ向かう。途中何度か展望が良い場所があり、そこからは南八ヶ岳の山々が良く見えた。雪を纏った南八ヶ岳は威圧感がある。強風と寒さに耐えながら、カメラのシャッターを切った。

正午前、縞枯山に登頂。ピークの先に滑落停止に適した斜面を見つけたので、そこで練習を始めることにした。ピッケル片手に何度も斜面を滑る。滑落停止は予想以上に難しく感じた。これからも練習を積む必要がありそうだ。滑落停止の練習の後はグリセードの練習を行う。橋本先輩のように、華麗に斜面を滑ることは出来なかったが、何度か滑っているうちにコツは掴めたように感じた。グリセードの技術を体得すれば雪山をスピーディーに下降することができる。今後も雪山に行く度に練習を重ねようと思った。

午後になると、山には雪が舞い始める。時間も推しているのでテント場に戻ることにした。夕方。青苔荘のキャンプ場に無事到着。外の雪はさらに強さを増していた。寒さで凍える前にテントの中に入る。この日は早めの夕食となった。酒を飲んだり、持参してきたウインナーをコッヘルで焼いたりした。しかし、ここでまさかのアクシデントが発生!なんとマットの上に置いてあったコッヘルの熱で銀マットが溶けてしまったのだ。しかもマットの下のグラウンドシートまで溶けてしまった。今回の山行最大の失態である。今後は注意しなければと思った。

2月27日(土)

慣れない厳冬期のテント撤収とパッキングに難渋した影響で、予定より1時間半遅い出発となった。この日はいよいよ本格的な雪山登山に挑むことになる。まずは標高2645mの東天狗岳のピークを目指す。この日の天気も快晴だったが、遠くの景色は春霞に覆われ、視界はそこまで良くなかった。

中山の手前あたりから積雪の量が増える。前日の降雪でパウダー状の雪がトレースを隠していた。中山は展望が開けており、これから登る天狗岳を目前に見ることができた。一面雪に覆われた天狗岳を目の当たりにし、登攀意欲が掻き立てられる。

中山峠を通過し、天狗岳への斜面に取り付く。この辺りから冬山特有の風の洗礼を受けることになる。体の力を抜くとあっという間に谷底に吹き飛ばされそうになるくらいの強風だった。橋本先輩曰くこれが冬山では「普通」の事らしい。冬山は私が想像していた以上に過酷な世界だということを痛感させられた。午前10時半、東天狗岳の山頂に登頂。計画よりもかなり早いペースで山頂に立つことができた。天狗岳の山頂からはこれから歩く硫黄岳へと続く稜線や、南八ヶ岳の山々の展望が得られた。山頂に10分ほど滞在した後、硫黄岳へ歩を進めることにした。ここから先は殆どが森林限界の稜線歩きとなる。突風に煽られながらも、一歩一歩確実に前進する。特に風の強い場所は、雪が完全に吹き飛ばされ、夏道が露出していた。

正午、夏沢峠に到着。ここから硫黄岳までは標高差300mの登り坂となる。今回の山行で最も辛く感じた場所だった。硫黄岳への急登を登っている最中にも何度も風に煽られた。午後1時過ぎ、通常のコースタイムより少し遅いペースで何とか硫黄岳山頂に登頂。ここまでかなりの体力を消耗していた。硫黄岳山頂も風がとにかく強かった。じっとしていると手先が痺れてくる程の寒さだったので、即下山した。

午後2時20分、赤岳鉱泉まで降りてきた。この日の赤岳鉱泉ではアイスクライミングの大会が開催されていた。休日ということもあって、赤岳鉱泉は多くの人で賑わっていた。

午後3時、この日のテン場である行者小屋に到着。雪もちらついてきて寒かったので、急いでテントに逃げ込んだ。

2月28日(日)

最終日は朝4時半に起床した。この日は八ヶ岳連峰最高峰の赤岳(標高2899m)へアタックをする計画だ。余分な荷物をテントに置いて、空身で赤岳の山頂へと向かった。天気は快晴、前日の降雪で雪が10cm程積もっていた。風も穏やかでコンディションは悪くはなさそうだ。空身ということもあって軽快にペースを上げていく。樹林帯を過ぎると視界が一気に開ける。雪を纏った南八ヶ岳の山々が朝日に照らされていた。「すげえ」と思わず口に出してしまうほどの絶景だった。

順調に高度を稼ぎ、赤岳と阿弥陀岳の分岐点に出ると、稜線には強風が吹き荒れる。この辺から赤岳山頂までは氷と岩の急斜面となる。岩にアイゼンを引っ掛けないよう一歩一歩確実に進む。

テントを出発して約1時間、意外とあっけなく赤岳山頂に登頂。危険箇所が多いと聞いていた赤岳だったが、厳冬期でも慎重に歩けば特に問題無い山だと感じた。山頂では強風であまりゆっくりできず、先行者の方に記念撮影をお願いして早々に退散した。

午前9時、行者小屋のテントを撤収する。バスの時刻が迫っていたので、早歩きで美濃戸口へと向かう。ここまで降りてくれば、後は樹林帯を沢沿いに歩くだけなので非常に楽だ。途中何度か凍結箇所でスリップをしたが、無事バスの時刻前に美濃戸口に到着した。帰りは茅野駅から徒歩20分程の所にある入浴施設「アクアランド茅野」で汗を流し、電車でご当地ワインや寒天ジュースを飲みながら、帰路についた。


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